広域行政事務組合視察復命書
汚泥再生処理センター「グリーンハット」〜湖南広域行政組合
○組合の概要
・平成10年設立。4市(草津市、守山市、栗東市、野州市)で構成。
管内人口29万人、うちし尿処理対象人口は4万人(15%)。
管内面積200平方キロ。
・職員数は事務部門で定数25のところ実員数は15人。これに消防を加えて294名。
○施設の概要
・し尿、浄化槽汚泥の収集及び処理事務
・管内の流域下水道面整備完了率は92.2%。人口比では85%。
H20年には整備完了率はほぼ100%になる予定。
上記し尿処理対象人口以外のし尿は、浄化センターにて、下水道処理されている。
・高負荷脱窒素処理方式。希釈する水を最小限にとどめ、微生物菌により処理する。琵
琶湖に放水することから、環境や水質に特に配慮し、この方式を採用。
・平成13年稼動。建設費 52億円。
運転コストは1kl当たり1157円(H16年度実績)。
処理量は減少し、燃料単価が高くなっている。コストも年々高くなっている。
・処理能力は 168kl/日(ドラム缶840本分)
内訳はし尿80kl/日、浄化槽汚泥88kl/日。
・建設経緯、昭和40年に1号機、49年に増設、60年改良更新、H13全面更新し、
「グリーンハット」が登場。
・グリーンハット以前は直営で運営していたが、今施設から、現場技術員2、委託社員
4の計6人で運転している。(クボタ環境サービス)
・処理実績は、設立時より年々減少している。
・処理の結果、焼却灰が140〜150t/年。土壌改良剤として無料で配布。
窒素はほとんど含有せず、りん酸分のみとなっている。
・なお、し尿処理手数料は、従量制 18lにつき220円+税。
○処理工程の詳細
・搬入された浄化槽汚泥は泥と水とに分けられ、水分だけがし尿の流れと合流し、脱窒
素処理設備に送られる。
・脱窒素処理設備は2系列を備える。現在は2系列とも使用しているが、H19か20
年度には、1系列の使用とし、半分は止め、槽内塗装、補修をして、2系列を交互に
使用することとする計画。
・脱臭装置は活性炭。2700s×3塔。活性炭の購入単価は182円/s。新規スタ
ート時点では業者が特定銘柄を指定していたことから、500円/sもしていた。
・汚泥の流れは、濃縮貯留層で強制的に分離させられ、2炉方式の乾燥設備に入る。こ
こで汚泥炭が発生し、緑農地還元が行われている。いま2〜3ヶ月待ちの状態。
し渣焼却炉から発生するし渣灰は、焼却処分。燃料コストを考えると、償却のほうが
安くつく。
○感想
タクシーで到着。そこは広い田園地帯の真ん中で、ふたつの一級河川が合流する、中
洲のような場所に立地していました。これまでグリーンハットが建設される以前も、隣
接する空地に前の施設が建っていて、交替にここに同施設が建ちました。
グリーンハットの愛称は、その屋根が周囲の緑に溶け込むよう、鮮やかな緑色をして
いるところから付けられています。
ここでも琵琶湖に近く、排出される水がそこに注ぐことから、環境、水質への配慮が
第一義とのコンセプトで設計されたようです。ロビーには環境学習のための来訪者に備
えて電飾のパネル展示が配され、清潔な印象を与える室内の配色などが凝らされていま
した。
また、学習したビデオについても、「臭い」という言葉を巧みに活用して、その程度が
次第に薄まっていく工程を示している点に、よく工夫されているのを見てとりました。
前述の「いなば」と同じようにし尿と汚泥を処理する機能ながら、その処理方式、脱
臭対策など、それぞれ実情と考え合わせ、与えられた条件の下で最大の効果を上げよう
と工夫されているさまがわかります。人間生活に伴い排出される、避けて通れない処理
業務であると捉えること以上に、それを自然に還元するというサイクルに配慮し、さら
には環境にやさしい人間を作り出そうといい意欲すらここにはあるわけで、ハード面で
の高規格化とあいまってそのソフト面の高度化が、こうした施設整備の大きなファクタ
ーであることを改めて痛感します。
ひるがえって、わが中讃広域における業務にあっても、パンフレット啓発などひとと
おりの環境啓発への業務は行われているものの、ソフト面の開発はハードと異なり、業
務上の知恵でもってこれからいか様にも展開できるのではないか、ということにも思い
至りました。私たち今回の視察メンバーは広域行政議員としてキャリアも浅く、まだま
だ勉強不足ですが、未来を生きる子どもたちのために、いましてあげられることを考え
提言していくためにこの役職を引き受けているとの自覚で、臆することなく提言も行っ
てまいりたい。広域議員として初の視察は、その意味で非常にありがたいものでありま